・・・貴方、・・・私が腰を振る姿を・・・、見て

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けれども立ち上がった私の脚がすくみました。
私は両手で体を覆いながら腰を丸めた惨めな恰好で、俯きました。
杉山さんから言われた言葉を言わなければならないのです。
喉がからからで、何度も喉元を大きく上下させならが唾液を飲み込みました。
口の中には、ディルドのゴムの様な化学素材の匂いが残っていました。
私は、杉山さんと夫に背を向けたまま、立ち尽くしました。
全裸の私にはどこにも逃げる場所などないのです。
夫に精一杯の気持ちを込めて言おう私はそう思いました。
そして一言を発しました。

『・・・貴方』と。

小さく息が漏れただけで、言葉にはなっていなかったと思います。
『・・・貴方、私が・・』そう言ったきり、その後の言葉が言えません。
また涙が溢れて来て、私は、涙をのみ込み、私が、私が、と、しゃくり上げながら
鼻声で何度も繰り返しました。

やがてついに私は言いました。その続きを。

『私が、腰を振るところを見て欲しい』と。

聞き取れるか取れないかの、小さな小さな声でした。

『もう一度』

杉山さんが言いました。
声を震わせもう一度言った私に杉山さんがまた言います。

『もう一度』と。

もう一度・・・もう一度・・・、いったい何度言わされたことでしょう。
杉山さんにご主人の眼を見て言う様に命じられ、とうとう私は、夫の眼を見ながら
言いました。
はっきりとした言葉で。普通の女性ならけっして言うことのない恥ずかしい言葉を。

『・・・貴方、・・・私が腰を振る姿を・・・、見て』と。

そして夫の言葉も待たずに、私はソファの上に崩れ落ちました。

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