血管の浮き立った玩具を、静かに口に含んだのです

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玩具を手で摘みながら、私は眼を閉じました。そして、ここは自分の家だと思い込もうと
しました。見慣れた家具、時計、観葉植物、カーテン・・・
親しんだ家の風景を思い出しながら、ここは居間だと自分に言い聞かせました。
そして、今自分が手にしているものは、愛する夫のものであると。

やがて、私は、手にした玩具に顔を寄せると躊躇いながらそれを少しだけ唇の先端で
挟みました。そして小さく出した舌でそっと触れてみました。
明るい居間で夫に求められた時のことを、思い描きながら。
けれども、何人の男性にフェラチオをしたか分かる、どんなセックスをされたいのか
分かる・・・そんな杉山さんの言葉が頭の中を巡り、玩具に唇を被せる勇気がなかなか
出ません。
杉山さんが椅子へ座り直し、静まり返った部屋に長い沈黙が流れました。

やがて私は、大きく長い吐息を吐き出し、吐息に続けて小さく言いました。
若しかしたら、部屋に入って自分から口を開いたのは初めてだったかもしれません。

『・・・貴方、・・・ごめんなさい・・・』

と。
何を謝ろうしているのか、夫と出会う前に夫以外の男性のものを口に含んだことなのか
それとも、杉山さんの前でこれから自分がしようとしている行為なのか、自分でも分かりま
せんでした。
私は、もう一度、居間で夫を愛しているのだと自分に言い聞かせ、そっと唇を寄せました。
そして、血管の浮き立った玩具を、ゆっくりと口に含んだのです。

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